このたび、HOTEL SHE, KYOTOに「詩のホテル」が帰ってきました。
2019年に、詩人・最果タヒさんとデザイナー・佐々木俊さんの呼びかけによって実現した「詩のホテル」。
普段、身の回りにあるにもかかわらず、意識を向けることの少ない「言葉」という存在に着目し、「詩に泊まる」というアイデアを具現化したはじめての「言葉の宿泊体験」を提案いたしました。
終了後も定期的に復活・グッズ再販の声をいただいておりましたが、2024年、ついに再タッグが実現します。
ことばを部屋じゅうに散りばめた期間限定のコンセプトルームは、リバイバルに合わせて、再び最果さんに詩を書き下ろしていただきました。デザインも、再び佐々木俊さんに手掛けていただいています。
お部屋のいたるところにその場所、物にまつわる詩が隠れていますので、ご滞在中にぜひ新しい言葉との突然の出会いをお楽しみください。
加えて、期間中にはチェリオのCBDドリンクを使った特別なカフェメニューや書店との店頭連動企画など、京都に拠点を置く企業とコラボした特別な体験・グッズの販売なども予定していますので、そちらもぜひチェックしてみてくださいね。
また今回は、「旅のすべてが詩だったら?」というコンセプトのもと、ホテルを飛び出してHOTEL SHE, KYOTOが位置する京都市南区の周辺地域(銭湯、周辺店舗など)にも最果さんが書き下ろした「詩の広告」を展示します。
知らない街で、深く眠るとき、ぼくのさみしさは雪よりも軽くなって、いつの間にかその街の星空の一部になる。一人で眠れるようになったのはいつからだろう、心臓の中にいくつもの星が瞬いて、そのすべてが昔に忘れたさみしさだと、旅先の改札を通るその時、思い出す。さみしくても泣かずに済んだことは何度もあって、そのくりかえしがぼくの鼓動になり、いつのまにか、きみを愛していた。さみしさがなければ恋はないけれど、恋はさみしさのせいではないんだ。月が光る、太陽がなければ月の光はないけど、太陽のせいで燃える星ではないんだ。
ー 旅先の詩 最果タヒ
旅をすることと、アートに触れることはなんだかよく似ていると思います。それはきっと、自分の暮らす日常を離れ、誰かの世界に没入していく体験。
ホテルをただの寝る場所ではなく詩を鑑賞する場所と見立てた時、壁に差し込む光がゆっくりと移ろう様も、手を伸ばした冷蔵庫の先に見える言葉の羅列も、いつもと異なった表情で意味ありげに見えてくるかもしれません。
詩のホテルへの滞在を通して自分の日常を再びまなざすとき、日常生活を取り巻く「ことば」というものへの見方が変わり、それがあなたの人生に新たな選択肢をもたらすかもしれません。
京都で「詩に泊まる」夜をぜひ。
▼「詩のホテル」概要
・住所:京都府京都市南区東九条南烏丸町16番地
・アクセス:各線「京都」駅八条口から徒歩10分 / 京都市営地下鉄「九条」駅から徒歩2分
・コンセプトルームの客室数:3室(ツインルーム2部屋 / ダブルルーム1部屋)
・価格:16,000円〜 / 1部屋あたり(※時期によって価格は変動します)
・期間:2024年9月7日(土)〜2025年2月28日(金)宿泊分
・後援:京都市(文化市⺠局)
・協賛:株式会社チェリオコーポレーション
・協力:京都市交通局、株式会社カンプリ、株式会社大垣書店
▼最果タヒ(さいはて・たひ)
詩人(http://tahi.jp/)
1986年生まれ。
2004年よりインターネット上で詩作をはじめ、翌年より「現代詩手帖」の新人作品欄に投稿をはじめる。2006年、現代詩手帖賞受賞。2007年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。2015年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。
その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(同作は2017年石井裕也監督により映画化)。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『もぐ∞』『「好き」の因数分解』『恋できみが死なない理由』、小説に『星か獣になる季節』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』などがある。作詞提供もおこなう。
2017年の清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では100首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百年一首という感情』刊行。
2018年に太田市美術館・図書館での企画展に参加、2019年に横浜美術館で個展開催など、幅広い活動を続けている。2024年、京都市芸術新人賞・京都府文化賞奨励賞をダブル受賞。
▼佐々木俊
グラフィックデザイナー/アートディレクター(https://sasakishun.tumblr.com/)
1985 年仙台生まれ。2010 年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。アドブレーン、グリッツデザインを経て、2016年デザイン事務所AYOND(アヨンド)を設立。最果タヒ氏の複数の著書のデザインの他に、東京国立近代美術館「デザインの(居)場所」、「NHK紅白歌合戦」番組ロゴのデザインなど。