ここは、ひとりの地質学者の元書斎。
部屋は、ちらかっているわけでもないけれど、きっちり片付いてもいない。本や石、道具なんかが、部屋のいろんなところに積み重なっている。
すべてのものがずいぶん古そうに見えるのに、持ち主がたった今部屋を出たばかりで、すぐに戻ってくるんじゃないかとも思える。
<空間に漂う誰かのストーリーに触れる>という<書籍で物語を読む>こととは別次元の体験を、味わっていただければと思います。
玄関を入ると、神倉書斎のヒストリーが記されています。読んでいただくと、この場所についてより詳しく知っていただくことができますし、特に読まなくても問題はありません。
オーナーからお客様へのメッセージでもある、一番最初の「ようこそ」は宜しければお読みください。下記に、冒頭の部分だけをお見せします。
初めての方も、何度も訪れている方も、この場所のオーナーとしてここまであなたの心を運んでくださったことに感謝します。この、名もない小道の奥にひっそり隠れた家に。
神倉書斎へようこそ。
今のような場所になる前は、ここはどこにでもある普通の家でした。私の愛する祖父母のものでした。幼い頃の記憶では、私は長期休暇のほとんどをこの屋根の下で過ごして、家の中でごろごろすることと、外で冒険をすることを交互に楽しんでいました。
九歳の時に祖父が亡くなりましたが、それでも私は大阪から新宮まで一人で通い続け、祖母との時間と心地よい環境を楽しんでいました。
十二歳から十三歳になる学年が終わるまで、私はずっとここに通い続けました。
この場所で過ごした最後の冬休みのあと、自分の将来の目標を達成するためにも、勉強に専念しなければならないことを考えて、しばらく戻ってこないという決断をしました。その時は、大人になったらまた新宮に戻ってきて暮らし、なじみの山々で働くことをイメージして、地域の森の世話に少しでも貢献したいと強く思っていました。
しかし、人生にはよくあることで、私は多くの人と同じように、子供の頃に思い描いたことからどんどん遠ざかるような日々を送っていました。
・・・(続きは「神倉書斎」でご覧ください。)
和歌山県新宮市の神倉山の麓に、神倉書斎はあります。
歩いてすぐそこには、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部となっている、神倉神社の参道入り口があります。
538段の石段を登ったところにある神社からの眺めは最高です。早朝に登れば、朝日を拝むことができるかもしれません。
STAY in a NOVEL.
神倉書斎は、現代美術家のFulbrnが生み出した「物語の部屋」と呼ばれる一連のアート作品のひとつです。滞在中には、建物に残るモノたちが語るストーリーに、心ゆくまで浸っていただくことができます。
オーナーが近くにおりませんので、神倉書斎にお越しいただくと、代わりに留守を預かる者が、ご案内します。
あなたのお越しを、心よりお待ちしています。