このまちは、数十人の集落から、江戸時代に金が発見されて以降、全国からたくさんの人がやってきました。最盛期には5万人とも10万人という人がいた町です。
我々「相川車座」は、このまちで、地元住民に愛されている飲食店や施設と共に、鉱夫で賑わった金山町の持つ魅力を感じてもらえる宿泊施設をつくりました。
江戸時代から金が発掘されたことで隆盛を極め、たくさんの鉱夫で賑わいました。全国から、たくさんの人が押し寄せ、町が切り開かれて独特の文化が根づきました。
山を切り開いて作られた「京町通り」、北前船で持ち込まれた民謡「さどおけさ」、金山の焼き物「無名異焼」など、、時代とともに受け継がれてきました。
そして、江戸時代、金を求めて全国からやってきた子孫の”クセ強”な人の魅力。そんな地元の人達と、今も地域に根づく飲食店やBAR、スナックなどで交流する機会を作りたいと思い、今もこの地域に残る古民家を改装して、このホテルをつくりました。
今回のプロジェクトは、来る観光客の方に、相川の町の魅力を楽しんでもらうために、地域の古民家を改装して、宿泊施設をつくりました。
各客室は、個性豊か。金山の焼き物である「無名異焼」の窯元を改修した客室や、佐渡金山で働いていた鉱夫たちの住宅「鉱山住宅」の一棟貸しの客室まで。
それぞれ個性があって、間取りも広さもバラバラですが、一つだけ大事にしていることがあります。それは、この町が金山の発展とともに培ってきた背景を大事にして改修するということ。直しすぎず建物のもともと持つ魅力を活かすということ。そこで、昔の古民家のもつ風合いや魅力を活かして、当時の相川町民の暮らし・日常を体験してもらえる客室にしました。
佐渡相川に特徴的な内蔵(うちぐら)を望む客室
佐渡金山で働いていた鉱夫たちの住宅「鉱山住宅」
このロビーは、メイン棟の清水家です。
清水家は、もともと無名異焼の窯元で、瀬戸物屋を営んでいました。この建物で実際に焼いていた「レンガ」を通り土間に使い。実際に「清水家」で使っていた箪笥をカウンターに仕立てました。まるで、昔の町人になった気分で宿泊いただけます。
相川の地域の魅力を感じてもらうのは、客室だけではありません。これに加えて、400年前の佐渡金山発見からこの町で暮らしてきた相川の町人(まちびと)たちと関わる相川の日常を体験するホテルにしたいと思っております。
金山町「相川」の町人の“日常”にふれることで1日の住民へ!
今回のホテルは、古民家での宿泊だけでなく、地域の町人(まちびと)とふれあって、ゆっくり佐渡金山の町「相川」の歴史や文化、人に触れてほしいと思っております。
地域の案内所や町のBARでチェックインしたあと、地域のお店や施設で通常ホテルで受けるいろんなサービスを受けるようなまさに「相川まちごとホテル」をつくりました。
一泊でも楽しめますが、理想は2泊以上。帰る頃には、すっかりあなたも相川の「町人」です。
それでは、実際の2泊3日の滞在イメージ(1泊目:清水家内蔵/2泊目:山師 新五郎宿泊で想定)を、こちらでご紹介しましょう。
① 「きらりうむ」でチェックイン
相川に到着すると、佐渡金銀山ガイダンス施設「きらりうむ佐渡」へ。ここは、佐渡金銀山の歴史をプロジェクションマッピングで紹介している施設で、金山の歴史や、相川町の成り立ちをわかりやすく伝えています。宿泊者には、ガイダンス施設の入場券が無料で含まれているので、まず地域の全体像を見学してください。
このまま、きらりうむでホテルのチェックイン。プロジェクションマッピング観光案内所のスタッフの勧めで、史跡 佐渡金山へ。「きらりうむ佐渡」で事前知識が入っているので金山の史跡を一層楽しめます。
② きらりうむから客室へ、まち歩きをしながら向かう
今日泊まる予定の清水家の客室は、きらりうむからほど近いところにあります。他の客室は、京町エリアにあり、歩いて10-20分ほど。徒歩に自信がない人は、各部屋の至近に駐車場を用意しているので車で向かったほうが良いかもしれません。
今日の客室は、清水家。もともと無名異焼の窯元だったところ。窯元の作業場を客室にした(窯ーKAMAー)に宿泊します。部屋に入ると、実際に使っていた電気窯を生かしたテーブルがあります。昔の陶芸職人の思いに浸りながら、少しゆっくりします。
③ ウエルカムドリンクは、地元のBARで
客室で一息ついたところで、近くにあるOKESA BAR「BUNZO」でウエルカムドリンクを。相川車座の町の代表でもある店主の岩崎さんが地元の水先案内人となって地域へのつなぎ役をしてくれます。まるで自分の故郷に帰ってきたような気持ちで街を散策しながら、岩崎さんから紹介を受けた寿司屋さんまで歩いて向かい地元の新鮮な食材を堪能します。
④ 佐渡おけさの練習を見学、夜の相川を楽しむ
食事を終えて、客室への帰路で「BUNZO」の前を通ると、本日は地元の方が集まって伝統芸能「佐渡おけさ」の練習日とのこと。練習とはいえ本物の佐渡おけさを目の前で見られたのは幸運でした。せっかくなので、そのままBUNZOで一杯飲むことに。お店に同席していた原田さんは、商工会青年部長でSPORTS BAR「SUSHIKA」も経営しているとのこと。「SUSHIKA」でダーツを楽しみ、地元の人との交流が楽しいスナック「J1」も紹介してもらい、ディープな金山町の飲食店ではしご酒。
⑤ 古民家の暮らしを楽しむ客室でゆっくりと
遊んだあとは、部屋に戻って、宴の余韻にひたります。
建物の魅力を残した個性豊かな古民家の客室では、ヒノキの浴室壁の広いお風呂は清潔そのもの。オーバーヘッドシャワーもついていて、この部屋のお風呂は、長旅の疲れを癒やします。
そして、客室ベッドは、ゆったりとしたSIMMONS製。古民家での暮らしを体験していただくコンセプトのホテル客室ゆえ、どうしても物音や隙間風など、現代の建物と比べると気になるところもあります。その代わりではありませんが、ベッドや水回りを配慮して少しでもゲストの方にゆっくり過ごせてもらえるように心がけました。
古民家ならではの土壁や趣のある天井。古民家の良さを味わいながらベッドやお風呂は快適に過ごして欲しいと考えてます。
④ 地元住民によるガイドがホテルまでお出迎え、自然や歴史文化にふれる
翌朝は遅めの起床。予約していた地元の「ふれあいガイド」がお迎えに来ました。相川町の歴史あるまちなみ、江戸時代の中心地「京町通り」などを散策しながら案内してもらえます(予約制、有料)。江戸時代、金の精錬作業でつかわれていた石うすが石垣に使われているところや、瓦に入っている三菱マークなど、地元を深く知るガイドが案内してくれないとわからない発見ばかりでした。
午後からは、史跡佐渡奉行所跡、金山の神様「大山祗神社(おおやまずみじんじゃ)」などを巡ります。車で10分ほどの達者海岸でカヤック体験なども楽しい。今日は夕方の時間に「相川車座」のメンバーでもあるShow by Jawsの岡部さんにカヤック体験の案内をしてもらい、日本海のきれいな海でのんびりとした時間を過ごしました。
すっかり暗くなって部屋に戻り、ウッドデッキのある客室で、旅の仲間と一緒に夜遅くまで語り合います。本日宿泊の「山師 新五郎」には、キッチンや冷蔵庫も完備しているので今日は、地元のスーパーや教えてもらった魚屋で買ってきた海鮮を肴に、夜が更けていきます。だいぶ、遅い時間になったけど、旅も明日までだし、昨日行ったスナックJ1に今日も繰り出そうか・・・・。
最後になりましたが自己紹介をさせてください。相川まちごとホテル「NIPPONIA 佐渡相川 金山町」は、相川車座というまちづくり会社が運営しております。
相川車座は、「相川」に住む若手が中心となって設立しました。地域の住民だけでなく、佐渡市や佐渡観光交流機構といった、行政(官)、地元の新聞社である新潟日報社、全国30箇所以上で、NIPPONIAを展開する株式会社NOTEが連携してバックアップしています。
まさに、官民地域が「車座」になって、最盛期より人口が減っている佐渡相川を盛り上げようという思いでいままで活動してきました。
人口が衰退している相川の人を増やしたい、相川ファンを増やしたい。そして、100年後の未来も賑わう相川町にしたい。そんな思いで、佐渡相川の様々な魅力的な場所を活用して、いろんな活動をしてきました。
最近では、佐渡市の協力を得てテスト企画で、史跡佐渡奉行所跡で結婚式を開催しました。世界遺産登録を目指し史跡として整備された奉行所を、地域の住民にも身近に感じてもらいたい。そんな思いで企画しました。今後は、佐渡市とも協議をしながらこの取組みを島民はもちろん、観光客の方にも活用してもらえるように企画していきたいと思っております。
相川車座のメンバーをはじめ相川の「町人(まちびと)」と交流してほしい。
ご宿泊頂いた皆様に、佐渡相川を、まさに”町ごと”楽しんでいただいて、「また、会いに来るね、戻ってくるね」と言ってくれる相川ファンを増やしたいと思ってます。
みなさまのご来訪をお待ちしております!